助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「無理もない……といいたいところだが」

 ラルドリスはメルの両肩を握ると、力強く励ました。

「あいつらを裁くためには、お前の力が必要なんだ。頼む……急いで克服してくれ。俺も出来る限りお前の背中を支える。お互いに強くなろう、メル」

 もう一月と経たぬうちに、その日は来る。
 このアルクリフ王国の三百年の歴史を祝う、建国記念の日。
 ラルドリスとザハールの争いも、メルとティーラの因縁も、そして、これからのこの国の指針となる人物も……そこで、すべてが決する。
 ラルドリスは、ぐっと強くメルの手を握ると、精一杯の笑みメルに向けて見せた。

「俺も怖いよ。……でも、少しずつ俺のことを見てくれる人が増えて来ているのを感じるんだ。それを想うと、力が湧いてくる。メル、俺もお前のことをちゃんと見ている。その時が来たら、自信をもってティーラに自分の気持ちを伝えてやれ」
「……はい!」
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