助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
瞼を半分閉じ、苦しそうな表情になったジェナは、声を潜め驚くような事実をメルに明かした。
「ザハール様に付いているという魔術師の正体、私……知っているの」
「え……!?」
どうして、その事実を彼女は黙っていたのかはわからない。
しかし彼女は、覚悟を宿した瞳でメルに伝える。
「どんなことよりも優先してあの子を守って欲しいから言うわ。魔術師は……実はザハール殿の、本当の父だと思うの」
「……そ、そんな」
メルは混乱する。それが確かであれば、ザハールは、元々継承権などというものを持っていないことになる。いったい、どういうことなのか。
「生前、彼の母であるマリア様に聞いたの。ターロフ様と出会う前に、ひとりの恋人がいたと……伯爵家の長女であった彼女からは、少し家格の劣る家柄の男性だったというわ。マリア様は先にその方と出会い、恋をした。でも家は容色に優れていた彼女に、地位向上のため、後宮へ入るように命じた」
「ザハール様に付いているという魔術師の正体、私……知っているの」
「え……!?」
どうして、その事実を彼女は黙っていたのかはわからない。
しかし彼女は、覚悟を宿した瞳でメルに伝える。
「どんなことよりも優先してあの子を守って欲しいから言うわ。魔術師は……実はザハール殿の、本当の父だと思うの」
「……そ、そんな」
メルは混乱する。それが確かであれば、ザハールは、元々継承権などというものを持っていないことになる。いったい、どういうことなのか。
「生前、彼の母であるマリア様に聞いたの。ターロフ様と出会う前に、ひとりの恋人がいたと……伯爵家の長女であった彼女からは、少し家格の劣る家柄の男性だったというわ。マリア様は先にその方と出会い、恋をした。でも家は容色に優れていた彼女に、地位向上のため、後宮へ入るように命じた」