助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
『城内にお集まりの方々。これより、中央広間にてアルクリフ王国三百周年・建国記念の式典を開催いたします。速やかかつ、落ち着いて移動されますよう、どうかよろしくお願いいたします。繰り返します――』

 城の数か所で同時にされた告知の声を元に、集まった臣下たちが動き始めるのを見て、ラルドリスは気合を入れ直した。

「よし、行こう」
「はい」

 移動を始めるラルドリスの後ろに付きながら、メルは密かに覚悟を固めた。もし彼を害するようなものが現れたなら、わが身を挺してでも、その命を守るのだと。
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