助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

因縁の終着①

『――だからこそ我らは、この国をより強いものへと変えてゆかねばならないッ! 私が玉座を継いだ暁には軍備を拡充し、どのような国にも負けず劣らぬ精強な軍隊を作り上げて見せよう。さすれば、国を取り巻く周辺諸国を恐れることなく、国民は堂々と人生を謳歌し、それぞれの役割に励むだろう!』

 大広間の壇上では、銀髪黒衣の第一王子ザハールが、熱弁を振るっている。普段怠惰な彼もこの大舞台に備えてしっかりと練習を積んできたらしく、声量も見栄えも中々のもので期待の視線で見つめる者も多い。

『よって我が国の豊かさは増し、よりよい循環が、人々の間に生まれ一層の幸福をもたらすはず! まずは改革だっ! 国庫にどうしても多少の減益は出るが、いわばそれは先行投資! 必ずや三十年……いや十年後、我が国を希望の光が手に取れる所まで近づけてみせる! 諸君、我が元へ集い、共に国を変えよう! この国が発展した暁には、必ず協力者に相応に報いると約束する。是非このザハール・アルクリフに惜しみない支持を与えてくれたまえ!』

 ワアアアアッ――!!

 朗々と放たれた宣言に、彼を大きな拍手と歓声が包む。
 それを見て、袖口で登壇の準備をしていたラルドリスが言った。
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