助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
もはや礼を尽くす必要も無いと口に手を当て、ころころと楽しそうにティーラが笑うが、司会者が登壇を告げたためラルドリスは無視して舞台を向いた。
「では、行ってくる」
微かな語尾の震えを感じ、メルはラルドリスの恐れを知った。もうここから、後戻りはきかないのだ……。でも、それを振り払い一歩ずつ進もうとする彼に、メルは駆け寄った。
そして、自分から初めて彼に触れる。
「ラルドリス様。あなたの気持ちが、皆さんに届きますように……!」
魔法でもなんでもないけれど、精一杯心を込めて。想いにはきっと力が宿ると、メルはそう信じているから。
それがちゃんと伝わったのか、彼は一度だけ振り返って言った。
「メル……俺に大事なことを教えてくれて、本当にありがとう。……それと」
「は、はい……?」
光が強く射す舞台を前に、ラルドリスははにかむように口の端を上げた。
「では、行ってくる」
微かな語尾の震えを感じ、メルはラルドリスの恐れを知った。もうここから、後戻りはきかないのだ……。でも、それを振り払い一歩ずつ進もうとする彼に、メルは駆け寄った。
そして、自分から初めて彼に触れる。
「ラルドリス様。あなたの気持ちが、皆さんに届きますように……!」
魔法でもなんでもないけれど、精一杯心を込めて。想いにはきっと力が宿ると、メルはそう信じているから。
それがちゃんと伝わったのか、彼は一度だけ振り返って言った。
「メル……俺に大事なことを教えてくれて、本当にありがとう。……それと」
「は、はい……?」
光が強く射す舞台を前に、ラルドリスははにかむように口の端を上げた。