助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「はぁ……メルローゼ、なのかしら……?」

 けれどその動揺は瞬きひとつで治められた。

「なるほどね。だとしたら……もしかして、あなたも長い時間をかけ、私への復讐を計画していたり、したの?」

 まるでこの事を予期していたような受け取り方をした姉の言葉に、メルは懐かしさと悲しみを覚えながら首を振る。

「まったくの偶然です。私は傷付いた彼を森で拾った縁で、ここまで送り届けました。私を救ってくれた……尊敬する人の教えが、そうだったから」

 それを聞き……くつ、くつくつと、ティーラは身体を折りおかしそうに笑い始めた。

「あは、あはははははっ……嘘でしょ!? だとしたら、なんてこと! なんって数奇な運命なのでしょうね、そうは思わない!? こうして私たちが再びまみえる、それはいかほどの確率だったのかしら! 嬉しいわ! もう一度死んだと思っていた、実の妹に会うことが出来るなんて」
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