助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
とはいえメルからすれば大事な帰る場所。そっと扉に触れ、必ず戻ると約束をする。そして青年の前を横切り、祖母の墓に近付くと、祈りを捧ぐ。
(おばあちゃん……困っている人がいるから、少しだけ家を離れるよ。またすぐに、帰ってくるからね)
せめて祖母に恥じぬよう、魔女として立派な振る舞いをすることを誓うと……閉じていた目を開ける。いつの間にか後ろには、あの青年が近付いていた。
「そちらが……魔女であったという御祖母殿か?」
「ええ。血の繋がりはありませんが、私にとってかけがえのない人でした。森で生きてゆくために必要なことは、彼女からすべて教わりましたから……」
青年はそれを聞いて、何事かを思案した。しかしすぐに頭を振ると、すっと隣りに跪く。
「……ならば俺も、祈らせてもらおう。あんたが人を助ける善人に育ったのも、その御祖母殿のお陰であるのだろうからな」
ずいぶんと彼は真摯に祈ってくれ、その仕草がメルの迷いを消した。どうやら態度は偉そうでも、きっと彼は心根の悪い人ではない。
(おばあちゃん……困っている人がいるから、少しだけ家を離れるよ。またすぐに、帰ってくるからね)
せめて祖母に恥じぬよう、魔女として立派な振る舞いをすることを誓うと……閉じていた目を開ける。いつの間にか後ろには、あの青年が近付いていた。
「そちらが……魔女であったという御祖母殿か?」
「ええ。血の繋がりはありませんが、私にとってかけがえのない人でした。森で生きてゆくために必要なことは、彼女からすべて教わりましたから……」
青年はそれを聞いて、何事かを思案した。しかしすぐに頭を振ると、すっと隣りに跪く。
「……ならば俺も、祈らせてもらおう。あんたが人を助ける善人に育ったのも、その御祖母殿のお陰であるのだろうからな」
ずいぶんと彼は真摯に祈ってくれ、その仕草がメルの迷いを消した。どうやら態度は偉そうでも、きっと彼は心根の悪い人ではない。