助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
 メルの背中にじっとりとした汗が浮かぶ。怖い怖い、逃げ出したい……。
 そんな気持ちを……。

『――今日は、この国の新たな門出を祝うために集まってくれて感謝する、皆』

 掻き消し、支えてくれたのは……遠くからもよく通る、はっきりとしたラルドリスの声だった。
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