助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「俺は……この国を、夢が見られる国にしたい! 生まれや才能だけで、数多の可能性が削ぎ落されてしまうような国じゃなく、それぞれが自分の手で未来を切り開くことの出来る、そんな国にできればと思ってる! だがそれには、色々と大きな問題も付きまとう……すべての人を救うなど無理だ、俺たちが心血を注いだって誰にも伝わらない、そんなにうまく物事は進まない。わかってる……でも、踏み出さないことにはなにも変わらない、そうだろう!!」
いつしか、臣下たちの目は真剣に彼を見据えている。それは値踏みの目だ。彼がこの国を率いるに足るなにかを持っているのか、それとも口から絵空事を垂れ流すだけの阿呆なのか。誰もが息を潜め、ひとりの少年の言葉をただ聞き入る。
「この国がここまで大きくなるのにも、三百年、いやそれよりもっと多くの時がかかったんだろう。最初にこの土地に住み始めた人は夢にも思わなかっただろうな。遠くない未来、ここにアルクリフというひとつの国ができ、たくさんの人が、自らが住むこの国を誇れるようになることを。国民から役目を託された者たちはひとつひとつの村や街、道を作り、規律を正し、生きるのに必要な物を作って侵略や災害から守り……苦しんでいる人の声を聴いて手を差し伸べてきた。なぜなら、俺たちは国という居場所に、同じ屋根の下に住まう家族だから。そこには競争も反目もあるかもしれないけれど……可能な限りの人が夢に、憧れに向かって手を伸ばし、有意義な人生を送って欲しいと願うから、だからじゃないのか?」
ラルドリスは、参列者に向かって手を伸ばした。この手を掴んで欲しい。自分と一緒にこの国を変えて欲しいと、それだけを願うように。
いつしか、臣下たちの目は真剣に彼を見据えている。それは値踏みの目だ。彼がこの国を率いるに足るなにかを持っているのか、それとも口から絵空事を垂れ流すだけの阿呆なのか。誰もが息を潜め、ひとりの少年の言葉をただ聞き入る。
「この国がここまで大きくなるのにも、三百年、いやそれよりもっと多くの時がかかったんだろう。最初にこの土地に住み始めた人は夢にも思わなかっただろうな。遠くない未来、ここにアルクリフというひとつの国ができ、たくさんの人が、自らが住むこの国を誇れるようになることを。国民から役目を託された者たちはひとつひとつの村や街、道を作り、規律を正し、生きるのに必要な物を作って侵略や災害から守り……苦しんでいる人の声を聴いて手を差し伸べてきた。なぜなら、俺たちは国という居場所に、同じ屋根の下に住まう家族だから。そこには競争も反目もあるかもしれないけれど……可能な限りの人が夢に、憧れに向かって手を伸ばし、有意義な人生を送って欲しいと願うから、だからじゃないのか?」
ラルドリスは、参列者に向かって手を伸ばした。この手を掴んで欲しい。自分と一緒にこの国を変えて欲しいと、それだけを願うように。