助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

因縁の終着③

 指先が大地を掴む感覚を感じながら、メルは身を起こした。
 魔術師とティーラが驚きの表情でこちらを見ている。
 そして、後ろでは未だ、大きな騒ぎは起きていない。
 ならば、間に合ったのだ。

 そしてメルは、魔術師と姉にふたたび同じ言葉を掛けた。

「もう、止めましょう……?」

 魔術師は明らかに疲弊していた。自身の胸を掴み、脂汗を滴らせながらやっとで立っている。まだ魔術を使おうとするならば、命の保証はできないはずだ。
 それでも彼は、メルの後ろのラルドリスに向けた手を、下ろそうとはしなかった。

「これしか方法は……してやれることは、ないのだ! そこをどけ!」
「どきません!」

 先ほどの闇の中を思い出しながらも、メルは恐れに打ち勝とうと腕を広げた。
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