助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
フラーゲン公爵①
ナセラ森を北に出てすぐのサンチノの街を行き過ぎ、さらに西へ。
陽が落ちたので、途中の村で宿に泊まりながらも(もちろん各々別の部屋で。ラルドリスの分はメルが立て替えてやった)目的地へと進んでいく。
メルはその村でラルドリスにフード付きのマントが欲しいと頼まれ、渋々村人と交渉してそれも買い与えた。
衣服からも予想できたことだが、どうやらあまり人に見られてはならない、よっぽど身分がお高い人のようで……手のかかる同行人にメルのお財布はすっかり軽くなってしまった。
そして数日の騎乗で流石にお尻が痛くなってきたところに、大きな屋敷が見えてくる。
「あれがフラーゲン公爵の屋敷だ。助かった、あんたの馬が無ければここまで早くは着けなかったろう」
「お礼はこの子に言ってあげて下さい」
「ああ、いい馬だった」
屋敷の門前で鞍から降りると、ラルドリスは首筋を撫でて黒馬を労い、メルも笑顔で感謝を告げる。
「ここまでありがとうね。あなたと大地の恵みに感謝を」
「ブルルル……」
そっと黒馬の額に触れると、その行動を鍵として馬は満足したように煙となって掻き消えた。
陽が落ちたので、途中の村で宿に泊まりながらも(もちろん各々別の部屋で。ラルドリスの分はメルが立て替えてやった)目的地へと進んでいく。
メルはその村でラルドリスにフード付きのマントが欲しいと頼まれ、渋々村人と交渉してそれも買い与えた。
衣服からも予想できたことだが、どうやらあまり人に見られてはならない、よっぽど身分がお高い人のようで……手のかかる同行人にメルのお財布はすっかり軽くなってしまった。
そして数日の騎乗で流石にお尻が痛くなってきたところに、大きな屋敷が見えてくる。
「あれがフラーゲン公爵の屋敷だ。助かった、あんたの馬が無ければここまで早くは着けなかったろう」
「お礼はこの子に言ってあげて下さい」
「ああ、いい馬だった」
屋敷の門前で鞍から降りると、ラルドリスは首筋を撫でて黒馬を労い、メルも笑顔で感謝を告げる。
「ここまでありがとうね。あなたと大地の恵みに感謝を」
「ブルルル……」
そっと黒馬の額に触れると、その行動を鍵として馬は満足したように煙となって掻き消えた。