助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
いつかの未来で
朝日が顔を出し、地平をゆっくりと染め上げる頃。
「おはようございます」
「ふわぁ……。おぉ、魔女殿か。こんな朝早くにおひとりで出掛けられるのかい?」
「ええ、少し散歩に」
堀に掛かる通行用の跳ね橋が下ろされる一番早い時間。
メルは久しぶりに魔女らしい黒いローブを着て、城の外に出ようとしていた。
隣を資材や食料を搬入する荷馬車が、がらがらと渡ってゆく。
「王都の治安は悪くないが、気を付けてな」
「ありがとう」
眠そうな見張りの兵士と挨拶を交わした彼女は、たたんと軽い音を立てて跳ね橋を渡って行く。まだ朝方は身を切るようなこの寒さも、帰り着くころには穏やかなものになっているだろう。
跳ね橋を渡ったところでしばし、止まった。振り返り壮麗な城の姿をしっかりと記憶に収めておく。
すると城の奥から、見覚えのあるふたりが姿を現した。
「おはようございます」
「ふわぁ……。おぉ、魔女殿か。こんな朝早くにおひとりで出掛けられるのかい?」
「ええ、少し散歩に」
堀に掛かる通行用の跳ね橋が下ろされる一番早い時間。
メルは久しぶりに魔女らしい黒いローブを着て、城の外に出ようとしていた。
隣を資材や食料を搬入する荷馬車が、がらがらと渡ってゆく。
「王都の治安は悪くないが、気を付けてな」
「ありがとう」
眠そうな見張りの兵士と挨拶を交わした彼女は、たたんと軽い音を立てて跳ね橋を渡って行く。まだ朝方は身を切るようなこの寒さも、帰り着くころには穏やかなものになっているだろう。
跳ね橋を渡ったところでしばし、止まった。振り返り壮麗な城の姿をしっかりと記憶に収めておく。
すると城の奥から、見覚えのあるふたりが姿を現した。