助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
シーベルがフラーゲン領には戻れるのは、きっと遠い未来のことになるだろう。これからラルドリスの名を各地に知らしめ、支持を盤石なものにせねばならない彼にとっても、勝負所はずっと続くのだ。
「では、これを」
メルは小さなコンパスを鞄から取り出した。祖母が幼少の頃、迷わぬようにと与えてくれた魔法のコンパス。それは森の付近に近付けば、自動的にあの魔女の家を指してくれる。
「いやはや、ラルドリス様になにを言われるやら。ですが、人にはそれぞれの還る場所があるといいます。願わくば、あなたのこの先の生が、豊かなものでありますよう。そしてまたいつか、会える時を楽しみに」
「ええ。約束です」
シーベルとメルは頷き合い、そして離れた。彼は跳ね橋を渡り切ったところで止まり、大きく手を振ってくる。メルはそれに何度も返した後、道の先へ歩き始めた。
(素敵な人たちと、友達になれた……)
「では、これを」
メルは小さなコンパスを鞄から取り出した。祖母が幼少の頃、迷わぬようにと与えてくれた魔法のコンパス。それは森の付近に近付けば、自動的にあの魔女の家を指してくれる。
「いやはや、ラルドリス様になにを言われるやら。ですが、人にはそれぞれの還る場所があるといいます。願わくば、あなたのこの先の生が、豊かなものでありますよう。そしてまたいつか、会える時を楽しみに」
「ええ。約束です」
シーベルとメルは頷き合い、そして離れた。彼は跳ね橋を渡り切ったところで止まり、大きく手を振ってくる。メルはそれに何度も返した後、道の先へ歩き始めた。
(素敵な人たちと、友達になれた……)