助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
城の尖塔から、色とりどりの煙がなびいている。
建国記念の日と同じように立派な狼煙が上がり、城壁の上には大勢の兵士たちが立ち並んで、敬礼をしてくれている。
その盛大な見送りにメルは目を瞬かせ、自然と呟く。
「……ありがとう」
言葉にすると、ゆっくりと視界が滲んできて……メルはもう一度、大きな声で叫んだ。
「ありがとう……いつかまた!」
彼女は人気もまばらな通りをひとり走り出す。感謝の気持ちが、別れの悲しみに勝っている内に。
そして何度振り返っても、小さくなった城の下で……その人影はずっとメルのことを見送っていてくれた。
その姿こそが……この思い出がメルにとって、なによりの勲章だ。背中を押される想いでメルは大地を蹴り、遠くを仰ぐ。
これからはなにかに迷う時、きっとこの旅と、彼らのことを思い出そう。そうすればこの記憶は、なによりも確かな指針として、過去と未来を繋げてくれる……そう信じて。
――そして、それから数時間後。
建国記念の日と同じように立派な狼煙が上がり、城壁の上には大勢の兵士たちが立ち並んで、敬礼をしてくれている。
その盛大な見送りにメルは目を瞬かせ、自然と呟く。
「……ありがとう」
言葉にすると、ゆっくりと視界が滲んできて……メルはもう一度、大きな声で叫んだ。
「ありがとう……いつかまた!」
彼女は人気もまばらな通りをひとり走り出す。感謝の気持ちが、別れの悲しみに勝っている内に。
そして何度振り返っても、小さくなった城の下で……その人影はずっとメルのことを見送っていてくれた。
その姿こそが……この思い出がメルにとって、なによりの勲章だ。背中を押される想いでメルは大地を蹴り、遠くを仰ぐ。
これからはなにかに迷う時、きっとこの旅と、彼らのことを思い出そう。そうすればこの記憶は、なによりも確かな指針として、過去と未来を繋げてくれる……そう信じて。
――そして、それから数時間後。