助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
だがそこには、もう誰もいない。
部屋はもうすべてが片付けられており……微かに残る生活の気配と花の残り香を感じながら、彼は唇をわななかせる。
「どういう……どういうことだッ!?」
「殿下、お待ちを……!」
封筒を落とし、その場から駆け出したラルドリスをボルドフとシーベルがふたりがかりで押しとどめる。
「どけっ、俺はメルを追う! あいつを連れ戻すんだ! あいつには、誰かが傍にいてやらないと駄目だろ……! いったい、いつ出ていった!? お前ら、どうして引き留めなかった! どうして……」
「お読みください」
暴れるラルドリスに、再度ボルドフが封筒を拾うと突き付ける。
睨み付けても一向に目を逸らさないその真摯さに、ラルドリスは唇を噛み締めながら手紙を受け取った。
そして広げ、目を通す――。
部屋はもうすべてが片付けられており……微かに残る生活の気配と花の残り香を感じながら、彼は唇をわななかせる。
「どういう……どういうことだッ!?」
「殿下、お待ちを……!」
封筒を落とし、その場から駆け出したラルドリスをボルドフとシーベルがふたりがかりで押しとどめる。
「どけっ、俺はメルを追う! あいつを連れ戻すんだ! あいつには、誰かが傍にいてやらないと駄目だろ……! いったい、いつ出ていった!? お前ら、どうして引き留めなかった! どうして……」
「お読みください」
暴れるラルドリスに、再度ボルドフが封筒を拾うと突き付ける。
睨み付けても一向に目を逸らさないその真摯さに、ラルドリスは唇を噛み締めながら手紙を受け取った。
そして広げ、目を通す――。