助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
ラルドリスの手に一瞬強い力が篭り、その後、だらりと垂れ下がる。
彼の身体を前後から押さえていたシーベルとボルドフは力を抜き、俯いたままの王子を、静かに見やった。
「なあ、シーベル」
少し湿った鼻声が、ラルドリスの口から漏れる。
「はい、なんでしょう」
「俺が、父上のような立派な王になれるには、何年くらいかかるかな……」
「……さあ、それは誰にも分かりません。十年か、二十年か……」
「長いなぁ……」
ぐっと拳を握り締めたまま、ラルドリスはそこから動こうとしない。
心配したボルドフが声を掛けようとするのを、シーベルが止め、微笑んで首を振る。
メルの存在は、ラルドリスにとって失い難い大切なものとなった。
それが側から消えて、彼の胸には今、大きな悲しみが渦巻いているのだろう。
彼の身体を前後から押さえていたシーベルとボルドフは力を抜き、俯いたままの王子を、静かに見やった。
「なあ、シーベル」
少し湿った鼻声が、ラルドリスの口から漏れる。
「はい、なんでしょう」
「俺が、父上のような立派な王になれるには、何年くらいかかるかな……」
「……さあ、それは誰にも分かりません。十年か、二十年か……」
「長いなぁ……」
ぐっと拳を握り締めたまま、ラルドリスはそこから動こうとしない。
心配したボルドフが声を掛けようとするのを、シーベルが止め、微笑んで首を振る。
メルの存在は、ラルドリスにとって失い難い大切なものとなった。
それが側から消えて、彼の胸には今、大きな悲しみが渦巻いているのだろう。