助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
もう五年前にもなるのに、こんなにも、はっきりと思い出せる。
色々な事があり過ぎて、絶対に忘れられない、あの旅の一部始終を。
「――――っぅ、ひぐぅ……」
「お、おい! なんでお前が泣くんだ! 泣きたいのはこっちだったってのに!」
「ご、めんな……さいっ。夢、みたいで」
夢などではなく……しっかりと存在するラルドリスの姿を、今メルは全身で確かめていた。温かい胸の感触も、力強く自分を包んでくれる腕も、あの時と似ている。
でも同じではない。少しだけ高く、力強くなった彼の視線に、メルは時の流れを感じた。
「あの……背が少し、伸びたんですね」
「お前は変わらない……っとと、まあ女らしくはなったかな。でも、元気そうで安心した」
慌てて言い直すラルドリスに、女性の扱いはまだまだ発展途上なのだとメルは少し笑った。
そして尋ねる。
「王様に、なられたんですよね?」
色々な事があり過ぎて、絶対に忘れられない、あの旅の一部始終を。
「――――っぅ、ひぐぅ……」
「お、おい! なんでお前が泣くんだ! 泣きたいのはこっちだったってのに!」
「ご、めんな……さいっ。夢、みたいで」
夢などではなく……しっかりと存在するラルドリスの姿を、今メルは全身で確かめていた。温かい胸の感触も、力強く自分を包んでくれる腕も、あの時と似ている。
でも同じではない。少しだけ高く、力強くなった彼の視線に、メルは時の流れを感じた。
「あの……背が少し、伸びたんですね」
「お前は変わらない……っとと、まあ女らしくはなったかな。でも、元気そうで安心した」
慌てて言い直すラルドリスに、女性の扱いはまだまだ発展途上なのだとメルは少し笑った。
そして尋ねる。
「王様に、なられたんですよね?」