助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「まあな。この通りだ」
彼は額から王冠を抜くと、人差し指でくるくると回した。おそらく外出用の簡易的なものなのだろう。それでもその精緻な細工は見ただけで、一般人には触るのも躊躇われるものなのだと分かる。
立派な彼の姿が嬉しくて、嬉しくて……でも、メルは彼の胸を押し、すっと離した。
「それで、どういった御用事ですか? もしかしてまた、なにか手に終えない事態でも? それでしたら相談を受けますから、どうぞ中に……」
「メル」
つい早口になり、家の中に入ろうとしたメルの腕を掴むと、ラルドリスは強引に目を合わさせた。
「どうしてこちらを見ようとしない。なにを怖れてる」
「そんなこと、ありませんよ……。あ、あれから私も、少しは有名になったんです! 街の人のお手伝いしたり、貴族様も訪ねてくるようになったりでって……こんな話はどうでもいいですよね。とりあえず家の中で、お話を……」
「メル!」
彼は額から王冠を抜くと、人差し指でくるくると回した。おそらく外出用の簡易的なものなのだろう。それでもその精緻な細工は見ただけで、一般人には触るのも躊躇われるものなのだと分かる。
立派な彼の姿が嬉しくて、嬉しくて……でも、メルは彼の胸を押し、すっと離した。
「それで、どういった御用事ですか? もしかしてまた、なにか手に終えない事態でも? それでしたら相談を受けますから、どうぞ中に……」
「メル」
つい早口になり、家の中に入ろうとしたメルの腕を掴むと、ラルドリスは強引に目を合わさせた。
「どうしてこちらを見ようとしない。なにを怖れてる」
「そんなこと、ありませんよ……。あ、あれから私も、少しは有名になったんです! 街の人のお手伝いしたり、貴族様も訪ねてくるようになったりでって……こんな話はどうでもいいですよね。とりあえず家の中で、お話を……」
「メル!」