助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「なぜですか」
「俺が好きだからだ」
「………………」

 そうか、などと納得できるはずがない。
 しかし、ラルドリスは畳みかけるように、距離を詰めて来る。

「ずっと決めていた、お前以外の女は相手にしないと。そしてここに来て、やっぱり再認識したよ。俺にはお前が一番似合いなんだってな」

 ぐっと指を絡ませるように手を握り、逃がさないように馬車に背中を押し付けられた。
 体が密着している。心臓のドキドキ跳ねる音が、多分、相手にも伝わっている。

「まっ、前にも申し上げましたが! わ、わ、私は! 魔女で、一般市民で!」
「逃げるな。前にも言ったが、そんな問題は些細なことだ。俺は王様だからな。あれだけ待たせといて……生半な言葉じゃ俺は引かないぞ?」
「で、でも……」
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