助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「ふう、聞いているだけでも疲れてきそうだ」
「意外と慣れるものですよ。それに……頑張ると必ず祖母が褒めてくれましたから、苦にはならなかったんです」
――メルがぼんやりと思い出すままに語り始めたのは、森に来て一年か二年程の時間が過ぎた頃のことだ。
あの頃は祖母はまだまだ元気で、よくメルの面倒を見てくれた。
貴族の家で育ち、何事も知らないメルに根気よく付き合い、一日一日生きるための知識を教えてくれた。
『メルや、魔女として生きるのならば、まずは植物の見た目と名前を覚えるところからだよ。毎日森を巡り、草花の特徴を頭にしっかりと焼き付けるんだ。わかるね?』
『うん! 私、お婆ちゃんみたいになりたい!』
元気よく答えるメルに優しく微笑みかけながら、祖母は手を引いて森を回る。
祖母は決してメルに仕事を無理強いしようとはせず、無理のない範囲で少しずつやることを覚えさせた。メルの方も、自分を拾ってくれた祖母に恩と愛情を感じていて、役に立とうとした気持ちもあったし……なにより、日々できることが一つ一つ増えていくのはそれはそれは楽しかった。そのおかげか、覚えはそれなりに早かったと思う。
「意外と慣れるものですよ。それに……頑張ると必ず祖母が褒めてくれましたから、苦にはならなかったんです」
――メルがぼんやりと思い出すままに語り始めたのは、森に来て一年か二年程の時間が過ぎた頃のことだ。
あの頃は祖母はまだまだ元気で、よくメルの面倒を見てくれた。
貴族の家で育ち、何事も知らないメルに根気よく付き合い、一日一日生きるための知識を教えてくれた。
『メルや、魔女として生きるのならば、まずは植物の見た目と名前を覚えるところからだよ。毎日森を巡り、草花の特徴を頭にしっかりと焼き付けるんだ。わかるね?』
『うん! 私、お婆ちゃんみたいになりたい!』
元気よく答えるメルに優しく微笑みかけながら、祖母は手を引いて森を回る。
祖母は決してメルに仕事を無理強いしようとはせず、無理のない範囲で少しずつやることを覚えさせた。メルの方も、自分を拾ってくれた祖母に恩と愛情を感じていて、役に立とうとした気持ちもあったし……なにより、日々できることが一つ一つ増えていくのはそれはそれは楽しかった。そのおかげか、覚えはそれなりに早かったと思う。