助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
そして、運がよいことに、メルにはわずかなりとも魔法の才能があった。
初めて魔法を教わることになった時、祖母はまず、魔女の家の壁際に咲いた小さな花を前にしゃがみ、愛おしそうにそっと触れた。
『自然の声を聞けるものはね、それほど多くはないんだよ。皆、草木や土にも宿る魂があるのだと夢には思わないから。きっと、メルはお花と話したいと思ったことがあったんじゃないかい?』
『うん……お友達になりたいと思ったの。お話しできる人がいなかったから』
『そうかい……。ならば、こっちへ来てごらん』
『はい』
メルは祖母の隣にしゃがみ込み、ちいさなタンポポの花をじっと見た。黄色く丸い花弁がどこか楽し気にふたつ並んでいる。
『手を』
『はい』
祖母のもう片方の手がすっと伸び、メルはそこに手を重ねる。
『目を閉じて』
『はい』
初めて魔法を教わることになった時、祖母はまず、魔女の家の壁際に咲いた小さな花を前にしゃがみ、愛おしそうにそっと触れた。
『自然の声を聞けるものはね、それほど多くはないんだよ。皆、草木や土にも宿る魂があるのだと夢には思わないから。きっと、メルはお花と話したいと思ったことがあったんじゃないかい?』
『うん……お友達になりたいと思ったの。お話しできる人がいなかったから』
『そうかい……。ならば、こっちへ来てごらん』
『はい』
メルは祖母の隣にしゃがみ込み、ちいさなタンポポの花をじっと見た。黄色く丸い花弁がどこか楽し気にふたつ並んでいる。
『手を』
『はい』
祖母のもう片方の手がすっと伸び、メルはそこに手を重ねる。
『目を閉じて』
『はい』