助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
 なにも感じない。最初はそう思った。
 けれど……しばらくするとメルにも、祖母の手を介してなにかが伝わってきた。
 リリ、リリリと……それはメルには、とても小さな、鈴のような音色に聞こえた。
 かすかに、かすかに。まるで小さな子供が笑っているかのような、そんな音の揺らぎがずっと鳴っている。

『どうだい、メル』

 祖母の言葉で、ハッと目を開いたメルは、興奮した。

『お婆ちゃん、聞こえたの! なんか、お花さんたち嬉しそうにしてた!』
『そうだろう。よく見ていてごらん』

 祖母がメルの手を引いて立ち、森の方を向いて、少し祈る。
 それだけで……。

『……わぁぁぁぁ!』
< 369 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop