助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
シーベルはため息を吐きながらラルドリスの頬を撫でる。
その表情は、まるで自分の家族に向けるような慈愛に満ちている。
ふたりがどういった関係なのか訝しむメルをちらりと見ると、彼は低い声でラルドリスの出自を説明した。
「彼――ラルドリス・アルクリフはこのアルクリフ王国の第二王子です。本来ならこうして命を狙われる立場ではなかった。彼自身は王位に興味がありませんしね」
「……どういうことです?」
第二王子というと、当たり前だが順当にいけば王位継承権の二番手。第一王子が他にいるなら、自分から王位をこの手にと望まぬ限り争う必要はない。それが、命を狙うのではなく逆に狙われている?
その事がやや不自然に思えたメルにシーベルが明かしたのは、恐ろしい事実だった。
「彼は複雑な事情の末、兄君である、ザハール第一王子と王位継承権を争わされているのです。病床にいる国王の思惑によってね」
「え……」
その表情は、まるで自分の家族に向けるような慈愛に満ちている。
ふたりがどういった関係なのか訝しむメルをちらりと見ると、彼は低い声でラルドリスの出自を説明した。
「彼――ラルドリス・アルクリフはこのアルクリフ王国の第二王子です。本来ならこうして命を狙われる立場ではなかった。彼自身は王位に興味がありませんしね」
「……どういうことです?」
第二王子というと、当たり前だが順当にいけば王位継承権の二番手。第一王子が他にいるなら、自分から王位をこの手にと望まぬ限り争う必要はない。それが、命を狙うのではなく逆に狙われている?
その事がやや不自然に思えたメルにシーベルが明かしたのは、恐ろしい事実だった。
「彼は複雑な事情の末、兄君である、ザハール第一王子と王位継承権を争わされているのです。病床にいる国王の思惑によってね」
「え……」