助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
本来であれば、第一王子が円満に王位を継げばそれだけでいいはず。
戸惑うメルの疑問を見通したか、彼はすぐにその回答をもたらす。
「込み入った話になりますが……そのようなことになった大きな原因は、ザハール王子が側室の子だということにあります。ラルドリス殿下の父君であらせられる、ターロフ陛下――彼が娶ったお妃は二人。正室であらせられるジェナ様と、側室のマリア様。そして、マリア様よりザハール王子が生まれた二年後にジェナ様から殿下が生まれた……それが今回の争いの種となったのです……」
シーベルは語る。
この大陸の多くの国々は、男系長子継承制を採用しており、ここアルクリフ王国も例外ではない。そして長子であるザハールは側室の子、本来であれば継承権自体が与えられることはなかったのだ。
よって次の王となるのは正室の子であるラルドリスのはずだった。だがシーベル曰く、現アルクリフ王ターロフには歳の近いふたりの王子を対立させ、成長を促そうという狙いがあったらしく……彼はあえてふたりの継承順位を同列であるとした。
その内に近年体調が優れなくなり……現在ではかろうじて息を取り留めているものの、もはや意識が戻ることすら稀な状態になってしまったという。どちらの継承順位が上であるかを明確にせぬまま。
戸惑うメルの疑問を見通したか、彼はすぐにその回答をもたらす。
「込み入った話になりますが……そのようなことになった大きな原因は、ザハール王子が側室の子だということにあります。ラルドリス殿下の父君であらせられる、ターロフ陛下――彼が娶ったお妃は二人。正室であらせられるジェナ様と、側室のマリア様。そして、マリア様よりザハール王子が生まれた二年後にジェナ様から殿下が生まれた……それが今回の争いの種となったのです……」
シーベルは語る。
この大陸の多くの国々は、男系長子継承制を採用しており、ここアルクリフ王国も例外ではない。そして長子であるザハールは側室の子、本来であれば継承権自体が与えられることはなかったのだ。
よって次の王となるのは正室の子であるラルドリスのはずだった。だがシーベル曰く、現アルクリフ王ターロフには歳の近いふたりの王子を対立させ、成長を促そうという狙いがあったらしく……彼はあえてふたりの継承順位を同列であるとした。
その内に近年体調が優れなくなり……現在ではかろうじて息を取り留めているものの、もはや意識が戻ることすら稀な状態になってしまったという。どちらの継承順位が上であるかを明確にせぬまま。