助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
ラルドリスの赤い瞳には、強い怒りの色が覗いている。
「俺が城を離れたのをいいことに……母上が毒を盛り、父上を殺そうとしたなどとでっち上げやがって! ここにいては潔白を晴らすどころか、異議すら訴えられん。早く駆けつけて安心させてやらないと……ぐっ」
「あまり、興奮されるとお体に悪いですよ……」
胸元を押さえたラルドリスをメルが気遣っていると、その件に関してシーベルが補足をしてくれた。
どうやら、ラルドリスの母である正妃ジェナは、縁戚であるシーベルの元にラルドリスを寄越し、自分は国王の病状を見届けるため王城へと残ったらしい。
しかし、それでもラルドリス派からの抵抗は衰えず、ザハール王子は焦っていたのだという。
「彼は殿下がいつか玉座を奪いに来るという恐怖から逃れられず、ジェナ様に無実の罪を着せて幽閉させ、息子である彼を安全なこの場所からおびき出そうとしたのでしょう。しかし、本当に命まで奪おうとするとはね……」
シーベルは眉間の皺をよせ、鋭い目つきでラルドリスに尋ねた。
「こんなところにまで手の者を差し向けてくるとは誤算でした……。殿下、ひとつお聞きしたい。あなたに同行させたのは我が領が誇る精兵たち。王都の近衛兵にもひけはとらぬ彼らを、どうやって一方的に壊滅させたのですか?」
「俺が城を離れたのをいいことに……母上が毒を盛り、父上を殺そうとしたなどとでっち上げやがって! ここにいては潔白を晴らすどころか、異議すら訴えられん。早く駆けつけて安心させてやらないと……ぐっ」
「あまり、興奮されるとお体に悪いですよ……」
胸元を押さえたラルドリスをメルが気遣っていると、その件に関してシーベルが補足をしてくれた。
どうやら、ラルドリスの母である正妃ジェナは、縁戚であるシーベルの元にラルドリスを寄越し、自分は国王の病状を見届けるため王城へと残ったらしい。
しかし、それでもラルドリス派からの抵抗は衰えず、ザハール王子は焦っていたのだという。
「彼は殿下がいつか玉座を奪いに来るという恐怖から逃れられず、ジェナ様に無実の罪を着せて幽閉させ、息子である彼を安全なこの場所からおびき出そうとしたのでしょう。しかし、本当に命まで奪おうとするとはね……」
シーベルは眉間の皺をよせ、鋭い目つきでラルドリスに尋ねた。
「こんなところにまで手の者を差し向けてくるとは誤算でした……。殿下、ひとつお聞きしたい。あなたに同行させたのは我が領が誇る精兵たち。王都の近衛兵にもひけはとらぬ彼らを、どうやって一方的に壊滅させたのですか?」