助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
そう質問され、ラルドリスに悔しさと怯えの表情が浮かぶ。
「あれは……おそらく魔物だと思う。ザハールの配下たちの後ろから、いきなり現れた見上げるほどの巨大な獅子が我々に突っ込んできたのだ。闇で出来たような体を持つ、得体の知れぬ獣――その突進を防ぎきれず兵士たちが陣形が一気に崩すと、後は成す術なくザハール麾下の兵士たちに囲まれ、打ち倒されていった」
「なんと……。考えられるとすれば、魔術師の仕業でしょうか。まさか、王族同士の争いにそんな後ろ暗い者を持ち出してくるとは……ううむ」
(魔術師……! 私たちと同じ、魔の力を扱う人々……)
シーベルの言う、魔術師という存在についてはメルも祖母から聞かされたことがあった。
この世界には、目には見えない力が存在し、人々の与り知らぬところで世界を動かしている。それが魔力だ。現代では自然から遠ざかり物質を重んずるがあまり、それらを感知したり、触れたりすることの出来るものはめっきり少なくなった。
だが世俗から離れたり、祈祷や修行などでそれに触れたりすることで、力を借りることができるようになった人々が稀に存在する。それらが魔女だったり魔術師、はたまた聖女などと呼ばれるようになるのだ。
(この王子様、厄介な相手を敵に回したみたいね……)
「あれは……おそらく魔物だと思う。ザハールの配下たちの後ろから、いきなり現れた見上げるほどの巨大な獅子が我々に突っ込んできたのだ。闇で出来たような体を持つ、得体の知れぬ獣――その突進を防ぎきれず兵士たちが陣形が一気に崩すと、後は成す術なくザハール麾下の兵士たちに囲まれ、打ち倒されていった」
「なんと……。考えられるとすれば、魔術師の仕業でしょうか。まさか、王族同士の争いにそんな後ろ暗い者を持ち出してくるとは……ううむ」
(魔術師……! 私たちと同じ、魔の力を扱う人々……)
シーベルの言う、魔術師という存在についてはメルも祖母から聞かされたことがあった。
この世界には、目には見えない力が存在し、人々の与り知らぬところで世界を動かしている。それが魔力だ。現代では自然から遠ざかり物質を重んずるがあまり、それらを感知したり、触れたりすることの出来るものはめっきり少なくなった。
だが世俗から離れたり、祈祷や修行などでそれに触れたりすることで、力を借りることができるようになった人々が稀に存在する。それらが魔女だったり魔術師、はたまた聖女などと呼ばれるようになるのだ。
(この王子様、厄介な相手を敵に回したみたいね……)