助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「確実なことは言えません。けれど、同行させていただけるなら、力の限り御身を守らせていただきましょう」
「う~む。危険な道程になるのはお判りでしょうな、魔女殿? どうしてそこまでしようとなさるかお聞きしてもよろしいか?」
「それは……」
微かに疑いの色を帯びたシーベルの視線に、メルはどうやって説得するかを迷う。
だが……その必要はなかった。
「いや、いい。理由は聞くまい。こいつは俺を助け、ここまで送り届けてくれた。そのことを思えば疑う余地もない。実際に魔法が使えるのも目にしたしな。それにシーベル、今からすぐこいつのような専門家を見つける当ては、お前にもあるまい? メルにも来てもらうが、いいな?」
「殿下がそうおっしゃるのでしたら」
ラルドリスのこの言葉に、存外あっさりシーベルは引き下がった。
メルは小さく息を吐く。これで少なくともなにもせず、罪悪感を抱いたまま森へ帰らずに済む。
文句を言うそぶりも見せず、シーベルは目の前でテキパキと段取りを決め始める。
「では明後日、空が白む頃にこの屋敷を発つことといたしましょうか。私も準備を整えおふたりに同行いたします」
「う~む。危険な道程になるのはお判りでしょうな、魔女殿? どうしてそこまでしようとなさるかお聞きしてもよろしいか?」
「それは……」
微かに疑いの色を帯びたシーベルの視線に、メルはどうやって説得するかを迷う。
だが……その必要はなかった。
「いや、いい。理由は聞くまい。こいつは俺を助け、ここまで送り届けてくれた。そのことを思えば疑う余地もない。実際に魔法が使えるのも目にしたしな。それにシーベル、今からすぐこいつのような専門家を見つける当ては、お前にもあるまい? メルにも来てもらうが、いいな?」
「殿下がそうおっしゃるのでしたら」
ラルドリスのこの言葉に、存外あっさりシーベルは引き下がった。
メルは小さく息を吐く。これで少なくともなにもせず、罪悪感を抱いたまま森へ帰らずに済む。
文句を言うそぶりも見せず、シーベルは目の前でテキパキと段取りを決め始める。
「では明後日、空が白む頃にこの屋敷を発つことといたしましょうか。私も準備を整えおふたりに同行いたします」