助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
メルは半笑いの表情を保とうとしたけれど、できなかった。期せずして、彼らとの出会いに少しだけ気持ちを浮き立たせていたことに気付かされ、そっと胸を押さえる。
祖母を亡くしてからこんな機会は久しくなかった。共に食卓を囲んだ誰かが自分の存在を認め、こうして話す言葉に答えをくれる。それがなんと貴重でありがたいことか。
「お、おい……しょげるなよ」
「すみません、なんでもないんです」
なんとなく声を詰まらせてしまったメルの肩にラルドリスの手が伸びたが、それは途中で引っ込められる。
「ヂィッ」
「あたっ! おいお前、髪を引っ張るな……やめろよっ!」
彼の膝で遊んでいたチタが悪戯するように髪を引っ張ったのだ。敏捷なシマリスは捕まえようとしたその手を掻い潜ると、すぐにメルの首の後ろに避難した。
祖母を亡くしてからこんな機会は久しくなかった。共に食卓を囲んだ誰かが自分の存在を認め、こうして話す言葉に答えをくれる。それがなんと貴重でありがたいことか。
「お、おい……しょげるなよ」
「すみません、なんでもないんです」
なんとなく声を詰まらせてしまったメルの肩にラルドリスの手が伸びたが、それは途中で引っ込められる。
「ヂィッ」
「あたっ! おいお前、髪を引っ張るな……やめろよっ!」
彼の膝で遊んでいたチタが悪戯するように髪を引っ張ったのだ。敏捷なシマリスは捕まえようとしたその手を掻い潜ると、すぐにメルの首の後ろに避難した。