君の隣にいられたなら。
私の言い回しに、嫌な感じを抱かなかったのか、先輩は屈託のない笑顔を見せてくれる。


「教えてって……」
「そ。身長とか体重とか好きなものとか。前みたいに楽しく話してくれたら、俺は嬉しい」
「体重はちょっと……」


先輩はにっこり笑う。
明るくて、申し訳ないけど1人で楽しそうに見える。


「先輩ばっかりずるくないですか?そっちも教えてくれたらいいのに」
「あら、もしかして秋野ちゃん、俺に興味持ってくれてる?」
「興味というか……」


この人、難しい。
会話のテンポが掴みづらい……。


「ていうかさ。1年生ってまだ難しい内容始まってないよね?」
「そうですよ」
「それで勉強?えらいね」


俺なんかさ〜とか話し始めて、ペラペラ喋って2時間くらい。
まさかの外真っ暗。下校の時間。


「話しすぎたね。ごめんね。送ってくよ」
「いや、大丈夫ですよ。家近いですし」
「こういうときは男に頼っとくんだよ」


「茉白?」


先輩と2人でやいのやいの言い合っていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
フッと胸が浮く感覚がした。
振り返ると思った通りの人物。
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