君の隣にいられたなら。
実里は眉間に皺を寄せて首を振る。
騒がしい人を好まない実里だけど、基本的に周りに嫌な顔をしたりしない。
こうやって教室を出てきてくれたのは多分、私もそういうのが苦手なのを知ってくれてるからだと思う。
……ほんとに好き。


「実里って優しいよね」
「当たり前でしょ」


こうやって言葉足らずに褒めても、全部わかってくれる。
流石に好きになっちゃうよね。
実里が私の友達で良かったって思う。


◇ ◇ ◇


放課後、綺音と私は2人で教室を出てファミレスに向かった。


「好きな人いる?」
「へ?」


突然の綺音の言葉に、胸がキュッとする。
あらかたの食事を終えて、私は期間限定の抹茶とチョコのパフェ、綺音はいちごのミニパフェを食べていたときのこと。
綺音は何気なくそんなことを言った。
何気なく言った言葉が、私をこんなに動揺させているなんて気づいてないみたい。


「い、いないけど」
「へぇ、そうなんだ」


綺音は宙で泳がせていたフォークをいちごに刺した。
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