君の隣にいられたなら。
私の手から黒板消しをさらうと私が消せなかった1番上の文字を当たり前のように消す。


「茉白身長伸びなかったよね」
「まだ見込みあるもん。お父さんは背高いんだから、まだ可能性ある」
「でもお母さん小さいじゃん」
「……そうだけど」


自分でもわかるくらい頬が膨らむ。
綺音はそんな私をみて、微笑む。


中学からの同級生。中1は同じクラスでとても仲良かった。
……高校は同じにならないと、本気で思っていた。


「てか相方は?」
「今日はおやすみなんだって」


そんなことも言ってたっけなあ、と呟いた綺音。
黒板消しを置いて、袖についた粉を払うと、教卓にもたれて私のことを見た。


「黒板、今日消すよ」
「いいよ、別に」
「でも届いてないよ」
「……ありがとう」
「よろしい」


お節介だなあ、なんて思うけど、この人は本当に親切な人。
そう。ほんとに。ただただ親切。
それは今まで3年間の付き合いで、よくわかっている。


私は授業の準備するから、と自席に戻った。


「秋野ちゃんって、尾崎くんと仲良いよね」
< 2 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop