君の隣にいられたなら。
先輩は満足げに笑って、お店のお姉さんに抹茶クレープを1つ頼む。


自分のほっぺたに手をやって、指で摘んでみる。
そんな笑ってないかな?私。
表情が豊かだとは思わないけど、人並みに笑ってるつもりだった。


「ひとつだけですか?」
「他にも食べたいのあった?」
「そんなことはないですけど」
「いっぱい食べたいからね!シェアした方がお得じゃない?」


ニコニコ笑顔の先輩。
流石にびっくりした。
この人、間接キス、とか、気にならない人なんだ……。


「じゃあ飲み物は俺が選んで良い?緑茶とか」
「いいですよ」
「じゃあ美味しいとこあるから買いに行こ」


ずっとニコニコ笑っている先輩。
心の底から私とのデートを楽しんでくれているみたいで嬉しい。


「茉白ちゃんはさ〜」
「なんですか?」
「俺のこともう怖くない?」
「え、」


抹茶クレープを口いっぱいに頬張ってしまっていた私は、絶対に変な顔しちゃったと思う。
だけれど、優しい顔で見つめる先輩は出会ったときから抱いていた私の気持ちはバレてるみたいだった。
ある程度、緊張の糸が緩んできたことも。


「ちょっぴり、先輩のこと苦手でした」
< 25 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop