君の隣にいられたなら。
じっと私のことを見つめている先輩と目が合う。
いつもより、優しい視線。
胸がギュッと掴まれたような気がして、少し緊張した。


「綺音のこと、まだ好き?」


綺音、という言葉が出たけど、意外にも私は動揺することはなかった。
多分、先輩が本当に優しい顔をしていてくれたからだと思う。
だけど、その質問には、なんて答えればいいかわからない。


本音を言うと、たぶん、だけど。まだ私は綺音のことが好きだと思う。


だけど、先輩がどうしてこんな質問をしてきたのかわからないし、これを答えて、先輩にとって何になるかもわからない。


どうして、こんな質問をしてきたんだろう。
素直に疑問に思った。


「綺音に聞かれたんですか?」
「違うよ。俺が気になったから聞いてみた」


正解だと、思ったのに。


先輩は、答えたくなかったら、無理しないで、と言った。
そして、次にこんなことを言った。


「俺、このままだと茉白ちゃんのこと、好きになっちゃう気がして。その前に俺に希望あるのかなって。俺に勝ち目あるのか、確認しておきたかったんだよね」


高校生って、こんな駆け引きみたいなこと、するの……?
なら、私には無理、ついていけない。難しすぎる。
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