君の隣にいられたなら。
「また、怪我しちゃった?これが原因?」


私の右手の中指を彼の右手が包んだ。
絆創膏が1枚増えている。
それにめざとく気づいたらしい。


綺音みたい、とこんなときにも、彼の心配そうな顔が思い浮かんで、さらに私の頭は混乱した。



「えっ、と」
「手、触りながらきたから」
「……」
「言いたくないなら、言わない方がいいよ。もっと辛くなったりしたら本末転倒だからね」


先輩は、頭を撫でてくれた。
手のひらの重みが、心地いい。
懐かしい。


ポタリ、と涙が溢れた。


どうしよう、とめなきゃ、って思ってもますます流れる涙。


「茉白ちゃん?」
「が、びょう」
「え?」
「机の中に、」



今朝のこと。
いつも通り登校して、カバンから教科書を出していたとき。
ピリッと指先に痛みが走って、思わず手を引くと血が出ていた。
机の中を確認すると、画鋲がボンドで固定されていて、鋭い針が上を向いていた。
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