君の隣にいられたなら。
『調子のるな』


『身の程知らず』


『尾崎くんの次は鮎川先輩とかふざけんな』




たったこれだけの短い文章でも、私の心を抉るのには、十分すぎた。


綺音との関係を知っている人までいる。



先輩はしばらく何も言わなかった。
下がっていた頭をもう一度上げてみると、先輩はごめんと呟いて、頭を撫でた。


「いや、正直俺のせいで女の子がいじめられたのはじめてだから、ちょっとテンパってる。
……ごめん、言い訳だわ。どうにかする。ホントごめん」


先輩はそう言って私の身体を抱きしめた。


優しく背中を撫でられて、さらにポロポロと涙が流れた。


嫌がらせが怖いって感情。
と。


多分それだけじゃない。


先輩は、こんなに優しいのに。
……私、お昼疑っちゃった。
優しいの、私はわかってたはずなのに。
< 34 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop