君の隣にいられたなら。
怪我でサッカーを辞めた自分、対して、部内でのソリが合わなくて退部した先輩。
できるはずなのに、やらない先輩にヤキモチ妬いてる。


「私のせいじゃん。綺音が部活辞めたの。先輩を目の敵にするのは違うくない?」
「は……何、いってんの?」
「高校は入ってからどうして私にかまうの?私、全然わからない。
サッカー続けられなくさせたの、私なんだよ?
先輩に八つ当たりするくらい気にしてるのに、どうして私には絡んでくるの?」


少し感情的になってしまった。
感情が決壊した。
ポロポロと溢れる涙を見つめて綺音は、呟いた。


「茉白こそなんも分かってない」
「なに、が?わかんないよ、わかるわけない!」




「ずるいのは茉白じゃん。気づいてるんでしょ、俺がまだ茉白のこと好きなの。


好きだから、夏葵を目の敵にしたくなるんじゃん」



静かな旧校舎に、綺音の声は消えた。
なのに、頭の中では何度も反芻していた。


好き、?
綺音が?
私を?



「どうして、?」
「サッカーとかなんも関係ないよ。俺は、夏葵が茉白にちょっかいかけてるから嫌なんだよ。好きなんだから、かまうじゃん。茉白にかまう男は俺だけでいいって思っちゃうよ」
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