悪魔なあなたと結婚させてください!
そう思ってもみんなの視線が突き刺さってきて言葉が喉の奥にひっついて出てこなくなる。

「佐藤、それはどういうことだ!」
上司の怒鳴り声が響く。

朋香はすでに自分のせいじゃないという顔を浮かべ、自分の席へと戻っていってしまった。

「とりあえず佐藤先輩のせいにしとけば後はどうにかなるもんね」
席に戻ってきた朋化へ、和美がそう囁いているのが聞こえてきた。

今の声は大きかった。
上司にだって届いていたはずだ。

だけど上司はまっすぐに幸の方へ向かってくる。
「どういうことだと聞いてるんだ!」

近くで怒鳴られて心臓がギュッと痛くなる。
「ど、どいうしてって……」
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