悪魔なあなたと結婚させてください!
☆☆☆

私は間違ったことなんてしてない。
絶対にしてない。

どうにか仕事をしてアパートに戻ると、そこに人影はなかった。

真っ暗な室内は寒々しくてアレクの『おかえり』という声も聞こえてこなかった。

「アレク?」

声をかけながら狭い室内を探してみても、やはりその姿を見つけることはできなかった。

どこかへでかけているんだろうか。
今までも幸が眠っている間に外にフラフラ出ていくことはあった。

だけど幸が帰る時間に部屋にいないのは、今回が初めてだった。
そう考えた瞬間スッと背筋が寒くなった。

なにがあってもアレクは自分の帰りを待っていてくれた。
それなのに……。
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