悪魔なあなたと結婚させてください!
まるで蛇に睨まれたカエルのように幸は動けなくなってしまう。
「俺をバカにしやがって」

ボソッとつぶやいた声。
だけどそれはちゃんと幸の耳にも届いていた。

恨み、怒りを含んだ声に恐怖が湧き上がってくる。
「バ、バカにしたのはそっちじゃない」

反論するけれども自分でも情けないくらいに声が震える。
肌寒さも相まってさっきから震えが止まらない。

「ブスでデブなお前をバカにしてなにが悪いってんだよ……。ちょっと痩せて見た目が変わったからって、俺をバカにしていい理由にはならねぇだろうが!」

罵倒されて身が縮こまる。

中川は自分の都合のいいように人を怒鳴っているに過ぎないのに、なにも言い返すことができなかった。
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