悪魔なあなたと結婚させてください!
随分と細くなった肩が小刻みに震えている。

中川に襲われたことも怖かっただろうが、それよりもアレクがいなくなったことの方が怖かったのだろうと理解できた。

アレクは驚きながらも幸の体を抱きしめた。

「心配かけて悪かった。さっきも言ったとおり悪魔の手が足りなくて手伝っただけだ。お前が俺のご主人であることには違いない」

「他の人に召喚されたらまたそっちへ行くの?」

涙目で見上げてくる幸は本当にキレイになったと思う。
それもこれも、悪魔と結婚するという無謀な夢を叶えるためだ。

自分をイジメていたヤツに復讐するとか、中川を自分に夢中にさせるといった願いだってできたはずなのに、幸は悪魔であるアレクと一緒にいることを選んだ。

そんな風に求められることは、アレクとしても初めての経験だった。
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