悪魔なあなたと結婚させてください!
こういう本は苦手だ。
どうせならロマンチックな恋愛とか、青春ものを読みたい。

そう思って引き返そうとしたときだった。

ふと本のタイトルに惹かれるものがあって幸は無意識のうちに手を伸ばしていた。

「悪魔召喚の書?」
子供の頃に好きだった小説を思い出す。

悪魔を召喚して自分の願いを叶えてもらうお話だ。
こんな本が実際にあるなんて思っていなかった。

本にかぶったほこりを手で払ってページをめくる。

これも年季の入っているもので、どこページも赤茶色に変色していて、破れているページもある。

「それは立ち読みするようなものじゃあないんだよ」
突然店の奥から声をかけられて幸は飛び上がるほどに驚いた。
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