悪魔なあなたと結婚させてください!
カウンターの奥に白髪の老人の姿が見える。
老人は椅子に座ってタバコを更かしながら幸の方を見ていた。
一体いつからそこにいたんだろう?
まるでふっとなにもない空間から出てきたように、気配も感じられなかった。
幸は背筋に寒いものを感じながら手に持った本を閉じた。
このままこの本は棚に返して帰ろう。
そう思っていたのに、なぜか手が動かない。
この本が幸の手に吸い付いてきているようだ。
とまどっていると、老人が「その本を買うのかい?」と、聞いてきた。
「いえ……」
断ろうとしたとき、本の値段が目に入った50円と書かれている。
たった50円か。
ボロボロだし、そんなもんか。
それなら買って帰ってもいいかもしれない。
と、思い直す。
手に吸い付くような感覚はすでになくなっていたけれど、幸は財布と本を握りしめてカウンターへと向かったのだった。
老人は椅子に座ってタバコを更かしながら幸の方を見ていた。
一体いつからそこにいたんだろう?
まるでふっとなにもない空間から出てきたように、気配も感じられなかった。
幸は背筋に寒いものを感じながら手に持った本を閉じた。
このままこの本は棚に返して帰ろう。
そう思っていたのに、なぜか手が動かない。
この本が幸の手に吸い付いてきているようだ。
とまどっていると、老人が「その本を買うのかい?」と、聞いてきた。
「いえ……」
断ろうとしたとき、本の値段が目に入った50円と書かれている。
たった50円か。
ボロボロだし、そんなもんか。
それなら買って帰ってもいいかもしれない。
と、思い直す。
手に吸い付くような感覚はすでになくなっていたけれど、幸は財布と本を握りしめてカウンターへと向かったのだった。