悪魔なあなたと結婚させてください!
一旦トイレに行って戻ってきた幸はテーブルやクッションを部屋の隅へ移動しはじめた。

最後にカーッペトをはがしてマジックを取り出す。
「水性だし、大丈夫でしょ」

自分に自分で言い聞かせて本を片手に大きな○を描き始める。

魔法陣を描きながら小学生や中学生のとき、こういうのを描くことに憧れていたなぁと思い出す。

あの頃は本当に悪魔が来たら困ると思って実行に移せなかったけれど、今なら悪魔なんていないとわかっている。

ちょっと描いてみようかなと思ったのも、ただの気まぐれだった。
「こんな感じかな?」

30分ほどかけて描いた魔法陣はなかなか上出来のように見えた。

コンパスを使ったわけじゃないからちょっとイビツになっている部分もあるけれど、微調整していくと随分キレイになってきた。

普段から広告デザインで微調整を重ねているのがこんなところで役立つなんて。
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