悪魔なあなたと結婚させてください!
そんなことよりも今はこの部屋から逃げることが先決なのに、体が思うように動かない。

玄関は後ろにあるのに!
「誰じゃねぇよ。お前が呼んだんだろうが」

男が青白い顔を不機嫌そうに歪ませて言った。
その声は本気で怒っているようで、幸は更に戸惑う。

呼んだ?
この人を、私が?

いや、そもそもこの人誰?

「あ、あの、人違いじゃないでしょうか。ほら、隣の部屋の人と間違えたとか?」

しどろもどろで説明すると睨まれた。
元々怖い顔をしている人に睨まれて幸は黙り込んでしまう。

「間違えるわけねぇだろ。俺はこの魔方陣がある場所にしか来れねぇんだよ」

イライラした様子で足元の魔法陣を見る。
< 47 / 80 >

この作品をシェア

pagetop