悪魔なあなたと結婚させてください!
「これは人間界での姿だ。そんなにジロジロ見るな」
あぁ、なるほどそういうことか。

悪魔としての本来の姿はまた別なのだろう。
それにしても足が長くてスタイルも抜群だ。

気がつけば幸は男に見惚れてしまっていた。

「それで、お前の願いは? 命と引換えになんでもひとつ叶えてやろう」
コホンッと咳払いをして仕切り直すようにそう質問してくる。

あ、そっか。
悪魔を呼んだのは自分だから、自分の願いを叶えてくれるんだ。

こういうときは日頃の鬱憤や嫌いな連中の顔が浮かんでくるはずだ。
そしてそいつらの名前を上げて殺してほしいとか、復讐してほしいと願う。

だけど、幸の頭にそれらのことは浮かんでこなかった。
毎日毎日行われている嫌がらせについても、全く浮かんでこなかった。

ただ幸の中にあったのは目の前に立つイケメンの存在だけだった。
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