悪魔なあなたと結婚させてください!
断る
「私と結婚して!」
と勢いで言った幸へ向けて悪魔は眉を寄せて唇をひん曲げた。

明らかに嫌そうな顔だ。
だけど悪魔は命と引換えに願いを叶えてくれるはずだ。

呼び出した幸はいわばご主人さまなのだから、言うことは聞かないといけない。

「俺がお前の夫だと……?」
悪魔の顔がひきつる。

「そ、そうよ!」
幸は肯定してから自分の顔がカッと熱くなるのを感じた。

勢いだったとはいえ、自分からプロポーズするような日が来るとは思っていなかった。

でもそうか。

こうして主従関係のある状態なら、自分でも誰かと結婚して幸せになることができるんだ!

が、
「断る」
悪魔がしかめっ面のままでそう答えた。
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