悪魔なあなたと結婚させてください!
「ちょ、ちょっと待ってよ! 悪魔ってそんなに簡単に人の願いを拒否できる存在なの!?」

幸の問いかけに悪魔は嫌そう顔をしたまま黙り込んでしまった。
「ほ、ほらね。拒否なんてできないんでしょう!?」

勝ち誇った表情の幸に悪魔はチッと舌打ちをしてそっぽを向いた。
本当は悪魔をこんな風に使うつもりはなかった。

だけど死ぬ前にこれだけのイケメンと結婚できるのならそれも悪くないと思えてきていた。

このままじゃ結婚はおろか、恋愛だって未経験で死んでしまうところだったのだ。
うん。

我ながら悪くない願いだった。
「ひとまず、あなたの名前を教えてくれない?」

結婚するのに相手の名前も知らないのでは話しにならない。
「名前だとぉ?」

悪魔が更に表情を引きつらせる。
口元が歪んでイケメンが台無しだ。
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