悪魔なあなたと結婚させてください!
「この子うな重特盛食べてるんだけど!」
朋香の言葉に和美と中川が同時に笑い出す。

人が食べているものを見て笑うなんて、なにがそんなにおかしいんだろう。

そう思いつつも、幸の居心地は急速に悪くなる。
恥ずかしくて顔を上げることができない。

何を食べてもいいはずなのに、自分はこれを食べちゃダメだと言われている気がしてくる。

「デブはデブっぽい食べものが好きだよねぇ」
和美のバカにした声が社食中に響いて、みんなの視線が幸へ向かう。

早く食べて出ていきたい気持ちがあるのに、朋香に見られていては食べられない。

幸がなにかを食べたり飲んだりするだけで彼らは笑うからだ。
ご飯粒がほっぺにつこうものなら、何日間にもわたっていじられる。

ブスでデブはなにをしても許されず、なにをしても笑われる。
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