悪魔なあなたと結婚させてください!
その瞬間がどれだけ嬉しかったか。
高校受験や大学受験に成功したときよりも、この会社に入社したときよりも嬉しかった。

中川はちゃんと来てくれた。
あの手紙を見てくれただけでも奇跡なのに、無視せずにいてくれたんだ。

嬉しくないわけがなかった。

幸に告白されることが嫌なら、手紙を見つけても見なかったふりをすればいいのだから。

それが、ちゃんと来てくれたということは、これからする告白だってうまくいく可能性がある。

幸の心臓は更に跳ね上がった。
大丈夫だと思っていても緊張はする。

『よ、呼び出してごめんなさい』
声が裏返ったけれど、中川は優しい笑顔を浮かべてくれていた。

幸の緊張をほぐそうとするかのように。
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