悪魔なあなたと結婚させてください!
だから幸は更に勇気を出すことができたんだ。
『あ、あの、私っ……中川さんのことが好きです!』

ギュッと拳を握りしめて、ギュッと目を閉じて伝えた。
中川と幸の間に冷たい風が通り抜けていく。

恥ずかしさと緊張で幸の体温は急上昇していたから、風がとても心地よかった。

『佐藤さん』
名前を呼ばれて恐る恐る目を開ける。

私なんかに告白されて迷惑だったろうか。
やっぱりダメだろうかという気持ちが胸をよぎっていく。

だけど中川は幸の手を握りしめてくれた。
初めて触れる好きな人の手に思わず自分の手を引っ込めてしまいそうになる。

だけど中川は幸の手をしっかりと握りしめて離さなかった。
幸は驚いて中川を見つめる。

『チョコレートありがとう。嬉しかったよ』
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